Category 楽曲考察

「セカイがカフェになっちゃった!」の魅力:楽曲分析から分かるごちうさ楽曲のエッセンス アレンジ編

こんにちは、北近畿5号です。

冬コミ新刊の原稿を書いていて少し間が空いてしまいました。「セカイがカフェになっちゃった!」の楽曲を全5回に渡って考察する記事の第4回となります。

ここまで、構成メロディコード進行と見てきましたが、今回は楽器の使い方、すなわちアレンジについて分析していきます。

アレンジ ~ストリングスに重なる様々なジャンルの楽器が、カフェに集まったキャラクター達を表現~

楽器のアレンジ

全体を通して、ヴァイオリン、ヴィオラなどによる厚みのあるストリングスのハーモニーと、ブラスの華やかな音色との掛け合いが見事な楽曲です。

イントロは...

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「セカイがカフェになっちゃった!」の魅力:楽曲分析から分かるごちうさ楽曲のエッセンス コード進行編

こんにちは、北近畿5号です。

前々回前回から引き続き、「セカイがカフェになっちゃった!」の楽曲考察を続けていきたいと思います。

今回は楽曲の音の響きを決めるコード進行について分析していきます。

コード進行 ~王道の中に見え隠れするごちうさらしい可愛らしさ~

Bメロ、Cメロ、サビに王道進行(IV7→V7→IIIm7→VIm)の派生系が見られます。これは言わずとしれたポピュラーソングの定番的コード進行で、近年のアニソンでも多用されています(ごちうさだとノーポイッ!のBメロとサビで使われています)。王道進行には日本人の琴線に触れる感情の揺さぶりが表現されているとされ、サブドミナントセブンス→ドミナントセブンスへの2度上行で緊張を高めた後、サードマイナーセブンスへの憂いを含んだ3度下行、そしてその憂いを解決するVIへの4度上行で構成されています。本曲が王道進行を活用したことにより、明るさの中に感情を揺さぶるサウンドが取り入れられ、今回のOVAのテーマに合致した感傷的な響きに仕上がっていると言えます。...

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「セカイがカフェになっちゃった!」の魅力:楽曲分析から分かるごちうさ楽曲のエッセンス メロディ編

こんにちは、北近畿5号です。

前回は「セカイがカフェになっちゃった!」の構成について考察し、楽曲を感傷的に盛り上げる複数のトリックが用いられていること、そしてこれまでのごちうさ楽曲のDNAが受け継がれていることを分析しました。

今回は、楽曲の中でも重要な要素であるメロディについて分析してみたいと思います。

メロディ ~まるでキャラクターたちが語り合うかのようなフレーズと所々のアクセント~

全体を通して、メインのフレーズの間にサブのフレーズが挟まるメロディのかけ合いが見られます。A・A’メロの終わりや、Bメロ全体、サビ途中にこの合いの手のサブフレーズが多用され、メインフレーズの流れを絶やさない効果を生み出しています。この手法はDaydream cafeやノーポイッ!でも見られた手法で、歌詞が付くとキャラクターたちが代わる代わる歌っているように聞こえて、とても楽しい曲調になります。...

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「セカイがカフェになっちゃった!」の魅力:楽曲分析から分かるごちうさ楽曲のエッセンス 構成編

こんにちは、北近畿5号です。

いよいよごちうさOVAのBD/DVDが発売されましたね。
劇場で見てからしばらく時間が経った今見返しても、脚本、キャストの演技、演出、劇伴など、全てが素晴らしい完成度に感じられます。

さて、OVAの終盤では、チノとココアの再会シーンの直後、花火を背景に「セカイがカフェになっちゃった!」のフルサイズが流れる粋な演出が見られました。
OVAを見始める前は、てっきりこの曲はOPに流れるものだと思っていたため、EDの感動シーン直後に使用されたことは、驚きとともにとても印象に残るものでした※1。
劇場公開中何度もOVAを見ましたが、今でもEDシーンを見ると鳥肌が立ちます。...

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