ごちうさ第6巻のコミックス修正について

こんにちは、北近畿5号です。

ごちうさの映画が始まりましたね。きんモザの時もそうでしたが、好きな萌え四コマ作品を銀幕で見られるのは幸せなものです。
映画では1時間弱の尺に収めるために、原作第5巻3話分のエピソードが再構成され、ココアの帰省とチノ・リゼの出会いという2つのテーマが並行して描かれていたのが印象でした。
この再構成には、橋本監督とKoi先生が携わった*1とのことで、なるほど程よく日常芝居と盛り上がるパートのメリハリがついていて、映画を意識した作りになっていると感じました。
原作を追いかけているファンなら気づくであろう、リゼが先生を志すきっかけや、千夜がシャロと同じ着物を着て働きたいと思っていること、青山先生と凛さんの過去の関係を示唆する伏線なども張られていて、とても丁寧な劇場化だと思います。

さて、そんな映画公開直前に原作第6巻のコミックスが発売されました。
2017年夏時点でコミックス化のためのストックは十分溜まっていたのですが、劇場公開に合わせてコミックス化を遅らせた格好です。
これまで連続的な季節の流れを感じさせるエピソードが少なかったごちうさにおいて、第6巻収録の話数は半分がハロウィンとクリスマスのエピソードに割かれており、時間軸が秋から冬にかけて進んでいることが明確に分かります。
第1〜3巻の頃にぼやかされていたごちうさ世界の時計が、第4巻以降確実に針を進め出しており、その流れは第6巻でも変わっていないことが示されました。

さて、ごちうさのコミックス化には、通常の加筆修正の他に、収録エピソードの掲載順にも手が加えられる特徴があります*2。
結論から言うと、第6巻ではエピソード順の大幅組み換えはなかったのですが、コミックス化に際し1つ大きな変更点がありました。
それは、コミックス巻頭カラーページに抜擢された2017年2月号「もふもふバンド結成」のエピソードです*3。

次の表は、原作第6巻に収録されたエピソードリストです【クリックで拡大】。

これを見ると、基本的には雑誌掲載時の順番でコミックスに収められているのですが、2017年2月号のエピソードのみコミックスの一番最初、すなわちカラーページに移動しています。
しかも、掲載順が移動しただけでなく、カラー化にあたって多くのコマに修正が入っており、一部はオチも変更されています。
例えば
・3本目4つ目のコマ:シャロのツッコミ変更
・4本目2・4つ目のコマ:メグとチノのやり取り・ツッコミ変更
・6本目全てのコマ:「チーム名『もふもふバンド』」→「バンド名『ラビレンジャー』」に言い換えて、ツッコミも変更
・7本目1・2・4つ目のコマ:チマメ隊のやりとり変更
・8本目4つ目のコマ:チマメ隊が「一発で揃っちゃったね」と言っていたのが、雑誌掲載時の9本目1コマ目のオチ(高校生組がチマメ隊に負けてることに気づく)に差し替え
・9本目全てのコマ:雑誌掲載時の9本目2~4コマ目が1~3コマ目に繰り上げ、4コマ目新規追加(チマメ隊の「マラカスうるせぇ」)
といった具合です。
特に6本目の四コマは「もふもふバンド」という固有名詞がそっくりなくなって、第11・12話で登場する「ラビレンジャー」に置き換えられています。

この事実から
・コミックス化にあたり、「もふもふバンド」のエピソードを巻頭カラー化することになった
・クリスマスのエピソードで登場した「ラビレンジャー」と整合を取るため、バンド名を変更した(そのため「もふもふバンド」はお蔵入り)
・上記の整合を取るため、コマ内のオチを調整した(あるいはKoi先生が気に入らなかったので修正した)
ことが推測できます。

こうした変更を入れた理由として、ここ1〜2年のごちうさは、リゼやチマメ隊の進路を意識させる核心的なエピソードが増えています。
それに伴って、高校生4人組とチマメ隊が揃って登場し、縦の絆を深めるエピソードが中心になってきているように思います。
「もふもふバンド」から「ラビレンジャー」への変更も、そうした流れに乗っかった結果なのかもしれません。

個人的に、第4巻くらいまでのごちうさには、登場人物同士のすれ違いや勘違い、舞台設定の違和感のような、微妙なズレ(ナンセンスさ)に面白みがあると思っていて*4、前者の場合「スニーキング ストーキング ストーカーストーリー」はその代表的エピソードでした。
最近はその作風が薄れて、前述のような登場人物の成長だったり、チノ母・ティッピーの秘密といった物語の核心に迫る内容だったりと、徐々に方向性が変わってきたように思います。
果たして、Koi先生はどのような形でごちうさを完結させようと考えているのか、とても興味が沸きます。
とは言いつつも、内心ではもうしばらくココアやチノの物語を楽しませてほしいというワガママもあったりします。

なお、2014年4月号に掲載された「青山さん観察日記」のエピソードは、今回の第6巻にも未収録でしたので、このままお蔵入りしてしまうのでしょうか。
細かなところまでこだわりの強いKoi先生なので、何か意図があって先送りにしている気もするのですが、真実ははっきりしません。
考察し始めるとまだまだ謎の深いごちうさです。

 

*1 劇場版パンフレット 橋本監督のインタビュー記事より

*2 Moon Flag「ご注文はうさぎですか? 3巻 感想&レビュー」http://mlwhlw.diarynote.jp/201403270005134695/
萌え四コマ定点観測2017上半期でも原作コミックスの収録順と時系列に関して考察しています

*3 まんがタイムきららMAX 2017年2月号と原作コミックス第6巻第1刷

*4 ロマン主義アニメ研究会さんの「ごちうさ論その1」でも登場人物同士のすれ違いについて言及されています

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